東京大学が、CDプレーヤーを含むデジタルオーディオプレーヤーで生じるデジタル→アナログ(DA)変換での「サンプリングジッタ」を、手軽に測定する新しい方法を提案し、その実証に成功したのだそうです。

サンプリングジッタというのは、DA変換が行われるタイミングのズレのことで、デジタルオーディオプレーヤーは、デジタル音楽ファイルを読み出し、再生音に対応するアナログ電気信号にDA変換をした上で出力を行うのですが、このデジタル音楽ファイル自体、デジタルからアナログへのDA変換過程が一定の周期で行われるという前提のもとで作成されています。

しかしデジタルオーディオプレーヤーでは、内部にある基準信号源の安定性などが原因となり、必ずしも一定周期でDA変換が行われていないのだそうで、このDA変換が抱えるサンプリングジッタ問題のため、デジタルオーディオプレーヤーを用いて、12kHzの正弦波型のアナログ電気信号が出力されるように書かれた波形ファイルを再生させる場合、現実には、ゆがんだ正弦波型のアナログ電気信号が出力されてしまうのだとか。

従来であれあ、アナログ電気信号の正弦波からのゆがみは「クロススペクトラム法」に基づく分析装置の位相雑音アナライザを用いて測定されてきたのですが、音と同じ20Hz~20kHzの周波数帯域は電気的な雑音が多いため、市販されている装置では対応していなかったのだそうです。

音の周波数帯域にだけ限定すれば、アナログ電気信号の測定器の代わりにリニアPCMレコーダで測定することも可能なのだそうで、リニアPCMレコーダは、音に対応するアナログ電気信号をデジタル信号にAD変換し、リニアPCMという形式で音声ファイルを作成する高性能な録音装置で「デジタルオーディオレコーダ」とも呼ばれるのですが、このリニアPCMレコーダ1台だけでは、録音過程のサンプリングジッタも記録波形に含まれてしまうため。研究チームは今回、リニアPCMレコーダを2台用いて、DA変換に伴うサンプリングジッタのみを測定したのだとか。

サンプリングジッタによる波形のゆがみは、電圧がゼロとなる付近で大きくなるので、まずは、記録波形から電圧ゼロ時間が算出され、レコーダA(B)で得られた記録波形の電圧ゼロ時間は、理想的には一定周期で出現することから、それぞれのゼロ交差ゆらぎが求まるのだとか。

ゼロ交差ゆらぎは、DA変換のサンプリングジッタとレコーダA(B)のサンプリングジッタの和となり、「ゼロ交差ゆらぎ(レコーダA)」ー「ゼロ交差ゆらぎ(レコーダB)」にはDA変換におけるサンプリングジッタは含まれず、「ゼロ交差ゆらぎ(レコーダA)」+「ゼロ交差ゆらぎ(レコーダB)」にはDA変換におけるサンプリングジッタが含まれるのだそうです。

ゼロ交差ゆらぎ(レコーダA)±ゼロ交差ゆらぎ(レコーダB)を横軸とし、縦軸を頻度としたヒストグラムを作成すると、マイナスの方が分布幅が狭くなる。標準偏差で評価すると、マイナスの場合は50.6ピコ秒(ps)であるのに対し、プラスの場合100.0psとなる。これらの値から、DA変換におけるサンプリングジッタが43psと求まるとしている。

デジタルオーディオプレーヤーの性能を手軽に測定する新手法